「相続」に関して最近あったこと・・・

住宅街

オオサワ創研新築不動産部の松島です

先日、親から相続した空家を売るといくらくらいになるかみてほしいとのお問い合わせがあり、さっそく相続された物件にお邪魔しました。

お話を聞くと、平成27年の7月にお父様がお亡くなりになり、その後そのままお父様が住んでいらっしゃったご実家を誰も使わないまま放置しておいたそうです。毎年の固定資産税や水道代電気代の経費も支払うのももったいないしそろそろ処分してもいいのではと思われたのが、当社にお問い合わせをいただいたきっかけとのことでした。

被相続人は兄妹のお二人で、妹さんは、手放すのは忍びないともう少し様子をうかがってみたいとの思いがあるようでしたが、お兄様は、もう、誰も住む予定もないのだから、いっその事売れるのなら売ったほうが良いのではないかとのお考えでした。

お部屋の中には、亡くなられたお父様やお母さまの遺品もまだ沢山あり、想い出の品も多数見受けられる状態です。

建物は、昭和46年建築とのことで、更地にして売却する場合には譲渡所得税の特別控除の特例が昨年だったら使えたのをご存知なかった様子で、「そんな制度があるのなら、昨年売却すればよかった…」と残念がっていらっしゃいました。

「もう少し、税金のことを勉強していれば良かったのでしょうが、税金の事ももう少し告知してもらう機会があればよかったのに…」とも。

もし、空家にされたご実家などに困っていらっしゃる方で、平成28年以降に相続が発生していらっしゃるのでしたら、税制優遇を受けられる可能性もあります。

政府が、最近の空家対策として、設けた特例ですので、これを機会にご売却もご検討されてはいかがでしょうか?

後記に、その税制について詳しくお知らせさせていただきますので、ご参考にしてみていただければと思います。

また、②にて近々に施行される「配偶者居住権」なる民法改正案についても触れております。これは、相続が発生して、残された配偶者とご子息間での協議で配偶者が住めなくなる事や経済的に不安定になるのを防ぐために定められることとなっております。ご参考にしてみていただければと思います。

 

 

相続税に関する特例や法改正について

 

ここ最近の相続に関する税金の特例や注意するポイントなどをご紹介させていただきます。

 

被相続人の居住用財産(空家)を売った時の特例

 

  • 制度の概要

 

相続又は、遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から平成31年(2019年)12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。

これを、被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得税の特例といいます。

  • 被相続人居住用家屋とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に狂されていた家屋で、次の3つの要件全てに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた―の建築物に限ります)をいいます。

ア  昭和56年5月31日以前に建築されたこと。

イ  区分所有建物登記がされている建物でないこと。

ウ  相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

  • 被相続人居住用家屋の敷地等とは、相続の開始の直前において被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地又はその土地の上に在する権利をいいます。

なお、相続の開始の直前においてその土地が用途上不可分の関係にある2以上の建築物(母屋と離れなど)のある一団の土地であった場合には、その土地のうち、その土地の面積にその2以上の建築物の床面積の合計のうちに一の建築物である被相続人居住用家屋(母屋)の床面積の占める割合を乗じて計算した面積に係る土地の部分に限ります。

 

  • 特例を受ける為の適用要件
  • 売った人が、相続又は遺贈により被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと。
  • 次のアまたはイの売却をしたこと。

ア  相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の2つの要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ)譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

イ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取り壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

   (注)被相続人居住用家屋は次の(イ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(ロ)及び(ハ)の要件に当てはまることが必要です。

   (イ)相続の時から取り壊しの時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと。

   (ロ)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと。

   (ハ)取り壊し等の時から譲渡の時まで建物又は構築物の敷地の用に供されていたこ

    とがないこと。

 

  • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
  • 売却代金が1億円以下であること。

 

この特例の適用を受ける被相続人居住用家屋と一体として利用していた部分を別途分割して売却している場合や他の相続人が売却している場合における1億円以下であるかどうかの判定は、相続の時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割して売却した部分や他の相続人が売却した部分も含めた売却代金により行います。

このため、相続の時から被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を売却した年までの売却代金の合計額が1億円以下であることから、この特例の適用を受けていた場合で、被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにこの特例の適用を受けた被相続人居住用家屋又は被相続人居住用又は被相続人居住用家屋の敷地等の残りの部分を自分や他の相続人が売却して売却代金の合計額が1億円を超えた場合には、その売却の日から4ヶ月以内に修正申告書の提出と納税が必要となります。

 

  • 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収容等の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
  • 同一の被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。

特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

 

 

3 適用を受けるための手続き

 

この特例の適用を受けるためには、次に掲げる場合の区分に応じて、それぞれ次に掲げる書類を添えて確定申告をすることが必要です。

  • 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

イ 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表

    ロ 売った資産の登記事項証明書等で次の3つの事項を明らかにするもの

  • 売った人が被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を被相続人から相続又は遺贈により取得したこと。
  • 被相続人居住用家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
  • 被相続人居住用家屋が区分所有建物登記がされている建物でないこと。

   ハ 売った資産の所在を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」

    (注)ここでいう「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の事項を確認した書類をいいます。

    (イ)相続の開始直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

    (ロ)被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等が相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用又は居住のように供されていたことがないこと。

ニ耐震基準適合証明書又は建設住宅性能評価書の写し

ホ売買契約書の写しなどで売却代金が1億円以下であることを明らかにするもの

 

  • 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売った場合

イ 上記(1)のイ、ロ及びホに掲げる書類

ロ売った資産の所在地を管轄する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」

(注)ここでいう「被相続人居住用家屋等確認書」とは、市区町村長の次の3つの事項を確認した旨を記載した書類をいいます。

(イ)相続開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。

(ロ)被相続人居住用家屋が相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないこと。

  • 被相続人居住用家屋の敷地等が次の2つの要件を満たすこと。

  A 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付の用の又は居住の用に供されていたことがないこと。

  B取壊し等の時から譲渡のときまで建物又は構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

 

以上を簡単にまとめますと、

 

被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する。

 

亡くなられたが残された土地家屋をそのまま空家にしている方、この特例を使えば、譲渡益があったとしても3,000万円までは控除がありますので、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

<トピックス>国が相続登記の義務化を検討?

 

先日、「政府が相続登記の義務化を検討」というニュースが報じられました。

最近では、「空地、空家問題」という話題をお聞きになったことがある方も多いかと思います。つい先日、全国で空家が864万戸を超えたと報じられていましたね。

相続が発生しても、相続による名義変更が行われず、所有者が不明となってしまっている不動産が増えているのです。

そもそも、相続があったときに限らず、不動産の名義変更は義務化されておりません。

たとえ売買であったとしても、名義を変更する義務はないのです。

ただ、売買の場合には、住宅ローンを利用される方も多いので、銀行などから、ちゃんと名義を変えてください、と強制されることになります。

一方で、相続の場合には、誰からも名義変更を強制されません。罰金もありません。名義変更するようにご案内などもありません。

そのため、名義変更をせずに放置してしまうケースが多くなってしまっていたのです。

この所有者不明問題を解決するため、政府が打ち出したのが、「相続登記の義務化」です。

相続が発生した場合の名義変更が適切に行われるようにすることで、所有者が不明になる状態を防ぎ、不動産の適切な維持管理を促そう、というものです。

ただこれまで相続の名義変更がされなかった理由は、単に義務でなかったから、ということだけではありません。

 

一つは、遺産分割協議などの話がまとまらない、というものです。

相続人同士の間で、誰が引き取るのか、引き取った後は処分するのか、維持するのか、などの話がまとまらないケースや、そもそも相続人の一部が行方不明で協議ができないケースなどがあります。

そのほかにも、そもそも相続手続きの費用を負担できない、といった理由もあります。

 

固定資産税もかからないような山奥の土地であっても、膨大な量の土地があり、また相続人が多数いるようなケースでは、手続きにかかる手間や費用がかさみすぎてしまい、名義変更を断念してしまう、といったことにもなります。

 

今回の政府の「相続登記義務化」の方針自体は、良い方向だと思います。

名義変更を後回しにすればするほど、手続きが複雑になり、費用もかさんでしまいます。

よほど律儀な人でない限り、期限が定まっていないと問題を後回しにしてしまうものです。

ただ、義務化にあたってはクリアしなければならないハードルが多く存在します。

すでに所有者不明になってしまっている不動産については、誰が費用を負担し、誰が責任を負うのか。

遺産分割協議がまとまらない場合はどうするのか。

手続き促進のために、補助制度をもうけるのか。

色々な課題が出と来るとは思いますが、不動産の所有に関する大きな転換点になると思いますので、注意深く情報収集をしていきたいと思います。

 

民法が改正されるのはご存知ですか?

民法のなかで「相続」に関する規定が改正されます。

これは相続時の配偶者の年齢が高齢になっていることから、配偶者の生活に配慮する観点から改正されることとなったようです。

昭和55年以来の約40年ぶりの改正となります。

相続が発生したとき、遺産分割協議の合意内容によって、配偶者がそれまで住んでいた家を手放さなければならなかったり、自宅を相続できたとしても、その分現金などの財産が減ってしまい、経済的に不安定となってしまう問題がありました。

それを「配偶者居住権」や「配偶者短期居住権」で、相続後もそれまで住んでいた家に配偶者が住み続けられる権利が設けられました。

配偶者のメリットとして、例えば…

相続財産:自宅2,000万円、預貯金3,000万円

相続人:配偶者とその子供1人(それぞれ1/2づつ相続)

【現行】

配偶者:2,000万円(自宅)+500万円(預貯金)=2,500万円

子供:2,500万円(預貯金)

【改正後】

配偶者:1,000万円(自宅)+1,500万円(預貯金)=2,500万円

子供:1,000万円(自宅)+1,500万円(預貯金)=2,500万円

こうする事によって、配偶者が住む家やお金に困ることがなく、生活できるようになります。

 

【配偶者居住権】

配偶者が相続開始時、被相続人(死亡した人)の家に住んでいた場合、その家に一生涯住み続けることのできる権利です。ただし、「遺産分割協議書などで配偶者居住権を取得する」、あるいは、「遺言で配偶者居住権の遺贈をうける」のいずれかに当てはまることが必要です。

 

【配偶者短期居住権】

相続開始時に、配偶者がその家に無償で住んでいた場合、「遺産分割協議が成立」あるいは「相続開始から6ヶ月」のいずれか遅い時期まで、住み続けることのできる権利です。

公布日(平成30年7月13日)から2年以内に施行されることになっています。

まだ先の事と考えるのではなく、今のうちに関心をもってそのうち起こる相続に備えておきましょう。

オオサワ創研 松島でした。

このサイトを広める